2020年01月08日

祭小話・2







買い物を終えた女性はハーバルのブースを離れ、イベント会場の端にあるベンチに向かう。
そこで待っていた連れの男性に自慢げに紙袋を見せ、購入した商品の説明をする。


「…おススメのバームが凄く良くて。塗り込んでいる時はふんわり香って、でもすぐに馴染んで、匂いも消えて…、あとはサラサラなの。ふふ、3本も買っちゃったわ…」
「そうですか。……で?…どんな様子でしたか、彼?」
「……えっ」


言われて、女性は、買い物をするために来たのではなく…、ブースに立つイツキの様子を見て来て欲しいと、
……ちょっとした知り合いの子が働いているのだが、自分が買い物に立ち寄るには不自然だからと……、
そう頼まれた事を思い出す。

女性は照れ臭そうにふふと笑い、男性も、柔らかな笑みを浮かべる。


「綺麗な子ね。すごく熱心に勧めてくれて…いい子ね。お肌もスベスベでね。……ふふ。
若い女の子の店員さんだと、キラキラ過ぎて…ちょっと引いちゃうこともあるのだけど…、あの子だと素直に聞けるわ。……いいわねぇ…」

女性の高評価に、男性は少し驚き、それから嬉しそうに頷く。
こんな場所で女性相手に販売の仕事など務まるのかと心配していたが、取り越し苦労だったようだ。

「……ありがとうございます、カオルさん。今日は一緒に来て頂けて助かりました」
「わたしの方こそ、一ノ宮さんとお出掛けが出来て、嬉しかったですわ」

そして二人は会場を出て行った。








「BAR KAORU」の女性とお礼がてら軽く食事をし、一ノ宮が事務所に入ったのは夕方すぎ。それから少しして、黒川も事務所に来る。
不機嫌そうに見えるのは寝起きのためか、他に理由があるのか。

『イツキくん、仕事、頑張ってるようですよ』

と話してやりたい所だが、変に焚きつけて、会いに行かれても困るだろうと…、口をつぐむ。


「………何を笑っているんだ、一ノ宮」
「…えっ、…いえいえ…」


話をするのはまた今度…と、一ノ宮は素知らぬ顔で、自分の仕事に取り掛かるのだった。





posted by 白黒ぼたん at 00:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
このお話しの中で、一ノ宮さんが一番好きなのです
カオルママとは、どんな関係なんですか〜!
Posted by はるりん at 2020年01月08日 18:01
謎の多い男、一ノ宮。
カオルさんとは……どうでしょう。カオルさんは気があるっぽいですけどね〜
Posted by ぼたん at 2020年01月08日 23:47
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