2020年01月10日

祭小話・5







笠原は、黒川が嫌いだった。


嶋本組でさらに上を目指すには、若頭の円城寺が邪魔で
何か弱みの一つにでもなればと洗ったのが、円城寺の親戚筋にあたる、黒川で。

シノギはほぼヤクザと同じなのに、表向きは一般企業を装っているところや
そのくせ、配下に新宿有数の西崎組を控え、名目トップに立っているところや
若頭の円城寺の信頼も厚く、さらに他の親文衆とも繋がりが太く、それをひけらかす訳でもなく、けれど自信満々の風体や…

若い、キレイな男娼を抱えている。

その全てが、気に入らなかった。


「………カシラ。動きがありました。……イツキが、新宿に戻ったようです」

黒川の近辺を張っていた手下からそう連絡を受けて、飛び起きる。
これでようやく、事が起こせる、と、笠原はニヤリと笑った。










つい、うっかり、新宿に戻ったイツキは



フェスタ一日目の緊張も、疲れも、怒られるのではないかという黒川への恐怖も何も、



一瞬で、消えて、流れて



黒川に抱かれていた。



いつも、いつも、何度も思うのだけど、………引き合う力が強すぎる、……ような気がする。
これが正解なのだと、世界の全てから吹聴され、自分達では納得できないところで、二人、重なってしまう。




「………あっっ」


声を上げて、思わず口を噤み、それでもすぐにここが、薄い壁に囲まれた安アパートの一室ではないと思い出す。


それならば、もっと、欲しがっても良いのではないかと……、イツキは腰を浮かせて、誘う目つきで黒川を見上げるのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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