2020年01月14日
祭小話・6
『イツキは、ウワバミだ』は、黒川の口癖だった。
何でものみ込むデカい蛇。大酒飲みの俗語でもあるのだがとにかく、手当たり次第に丸呑みしていく様子が
イツキの、貪欲に男を咥える姿と、被るらしい。
潤滑剤を塗った指は、するすると中に入る。突き当りが無いのが、困る。
痛みは無いのか、あってもそれが良いのか、イツキは甘ったるい鼻息を鳴らして身をくねらせる。
もの言いたげに見上げる目。
こんなものでは足りないと、拗ねる様に唇を尖らせる。
焦らせるつもりが、ただただ、煽られる。
こっちのペースもタイミングもお構いなし。欲しがり過ぎて、すべてを、丸呑みにしてしまう。
一体、どう仕込めば、こんなカラダになるんだよ……と、黒川は内心、思っていた。
フェスタ二日目の朝。
音が出ない設定のアラームが静かに震え、イツキは目を覚ます。
隣りには黒川が寝ていて、イツキは、次のアラームが鳴るまでの間その寝顔を見つめる。
愛しい、という感じではないのだけど。
ここが、自分の場所、という感じはする。
それは多分、お互いが思っていることで
黒川も目が覚めては、きっと、引き止められてしまう。
「……行って来ます。……またね、マサヤ…」
キスをするように黒川の額に、顔を近づけ、そう呟いて、イツキはベッドから起き上がる。
とりあえず、フェスタ。自分に与えられた自分の仕事をしっかりこなそうと、イツキは思った。
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