2020年01月22日

イツキと松田・2







「…あの時、マサヤと松田さんが一緒にいて、びっくりしました。……でも、松田さんが動いてくれたから、コトが早く収まったんですよね。本当に、ありがとうございました」


少し酒が進んでから、改めてイツキはそう言って頭を下げる。
フェスタでの一件は、実に松田のお手柄だった。


「まあ、黒川さんの連絡先も聞いていたしね。知らん仲でも無いし。フフ。
恩を売っておいて損はないだろ?その内、何か見返りがあるかも知れないし」


松田はニヤリと笑って、イツキに、新しい日本酒を注ぐ。


「こうやってイツキくんと、さらにお近付きになれたのも、いいね」
「…………え、………でも、あの……」


もしやまた、身体の関係を迫って来るのではないかと、イツキは少し警戒する。
……こんな座敷で二人きり、すでに酒に酔い赤い顔。俯いて視線を逸らせて、無意識にシャツの袷をきゅっと握るなど……

……誘っているのか違うのか、相変わらず解りずらい。

もっとも、今日に限っては、松田にその気はないようだ。
ただ、酒が美味しいらしく、上機嫌で杯を重ねる。

いい具合に仕上がった鍋を、小皿に取り分け、イツキに渡す。



「…でもさぁ、これからどうするの?…トラブル解決って事は、イツキくん、向こうに戻るのかい? ああ、ネギ、熱いよ?」
「……それは、……まだ、……解らないです……、……熱っう」



一口噛んだネギの中身が口の中に飛び込んで来て、イツキは思わず叫び
それを見て松田は、また、笑った。





posted by 白黒ぼたん at 00:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
松田さんは、いっちゃんの事が可愛いんですね
ネギ熱のいっちゃん可愛い!
Posted by はるりん at 2020年01月22日 19:40
ネギ。油断してると火傷しますよね。
いっちゃん、大丈夫だったかなw
Posted by ぼたん at 2020年01月23日 23:03
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/187064461
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック