2020年02月10日

直球







「……なに、簡単だろう?……所詮、あいつ一人じゃないも出来ないと思い知らせればいい。誰の庇護を得て生きているのか。
……向こうで、ちょいと怖い目に遭わせるか?……松田は…、使えんか。いい具合に取り入っているからなぁ……」


黒川と一ノ宮は仕事が終わると、いつもの、焼き鳥屋に。
カウンターしかない細長い店内の、奥の席。
ビール、ビール、からの日本酒で、今日は少々酒が進み、口も回る。

もっとも一ノ宮には、黒川のそれが、単なる愚痴で、半分は冗談であることは解っていた。


「……まったく。……どこに行ってもすぐに男を作る。そんなにヤルのが好きなら、『仕事』に出すかな。……笠原から守ってやっても、意味もないな、あの馬鹿は……」

「そうですね。渡辺建設の社長から声が掛かっていますからね。少し働いて貰うのも良いでしょう。……向こうには…ハーバルと言いましたか…、若いのを2,3人連れてご挨拶にでも行けばよろしい。イツキくんの素性を知れば、向こうから手離しますよ」


黒川の言葉に乗り、一ノ宮もそんな事を言う。小さく鼻で笑い、冷や酒のグラスに口を付ける様子は、冗談を言っているようには見えず
驚くのは、黒川の方だった。


「………は。………それも、いいな……」

「……それか…、………ちゃんと、話すべきですね」
「……何をだよ」



一ノ宮は台上に置かれていた一升瓶を取り、自分のグラスと黒川のグラスに注ぐ。
どこか一ノ宮が怒っている風に感じるのは、おそらく、気のせいではないと思う。

イツキに対して真摯に向き合えない黒川に業を煮やすのは、もう何度目の事だろう。




「…当座の危険は無くなったのだから、帰って来い、と。…俺の手元に戻れと。
他所で男を作らず、戻って来て欲しいと。

このまま向こうに居着かれては、困るのは、あなたでしょう?」




優しく曖昧に、オブラートに包んだような言い方も、もう、面倒になっていた。





posted by 白黒ぼたん at 22:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
黒川、ホントに素直じゃないですね!
付き合いの長い一ノ宮さんも呆れてますよ!
一ノ宮さんじゃないと、このめんどくさい男は付き合いきれないし、意見も言えないですもんね
Posted by はるりん at 2020年02月11日 05:48
いやぁ…、実際もう一ノ宮さんも
付き合いきれない……って思ってますよ。
Posted by ぼたん at 2020年02月12日 23:25
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