2020年03月27日

イツキのおでかけ・1






「……マサヤ、マサヤ。俺、ちょっと出かけてくる。…多分、晩ご飯も食べてくる。…じゃあね」
「…………ん?」




午前中。
まだ半分眠っていた黒川の頬に顔を寄せ、イツキはそう言う。
黒川がその言葉を理解した頃には、イツキは部屋を出て行った後だった。






前々から予定が決まっていた訳ではない。それでも、少し外に出たいと思っていた頃だった。
早くに目が覚めたイツキは…、……真面目に仕事をしていたお陰で、朝、決まった時間に起きる様になってしまったのだが……、キッチンで温かい牛乳を飲んでいた。

ケータイが鳴り、メッセージが届く。

何度も何度も連絡をくれる相手。頻繁すぎて、いつもスルーしてしまうのだけど、気が向いて返信を送ると、すぐに返事が返って来る。
まるで、いつ何時何が起きてもすぐに対応出来るように、ケータイの前で待ち構えていた様子。
その姿を簡単に思い浮かべる事が出来て、イツキは懐かしさに、くすくすと笑う。
『じゃあ、夜、会おうか?』
そう告げて、今日一日の予定を、あれこれと考えた。






「………!………来るなら、来るって…!……言いなよ、イツキちゃん!!!」
「……えーと。………すみません、突然に。ミツオさん。……いま時間、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ!駄目でも、大丈夫だよ!……ほら、こっち、おいで、おいで!」

最初に訪れたのは、ミツオのいる美容院だった。
イツキは以前、短期間だけれども働いていた事がある。
受付のスタッフはイツキを覚えていて、すぐにミツオに連絡をしてくれた。
1分も経たない内に、奥からミツオがすっ飛んで来る。


「…本当はちゃんとご挨拶しなきゃなんですけど…。なかなか、来れなくて…。…俺、ミツオさんには本当に助けて貰って…。……ありがとうございました」


本当に、ミツオには世話になった。ここでの仕事も然り。八方塞りだったイツキに「ハーバル」を紹介してくれて、独りで不安だったイツキを慰め、親身に相談に乗ってくれた。
若干、下心のある元痴漢だとしても……イツキにとって、実は一番の功労者であることは間違いなかった。





posted by 白黒ぼたん at 21:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
そうでした
いい人なんですけど、元痴漢でした…笑
Posted by はるりん at 2020年03月28日 04:31
そうなんです。
優しくて、いい人で、一緒にいると楽しいんですけど
元痴漢です笑
Posted by ぼたん at 2020年03月28日 21:14
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