2020年04月11日

コンビニでバッタリ







事務所の近くのコンビニで、佐野は、イツキを見掛けた。



イツキがこちらに戻って来ていることは、風のウワサで聞いていた。
『結局イツキは、ウリしかやるコトが無いんだろ』と、西崎が下品に笑っていた。

イツキとは、二週間前に、一人暮らしをしていたアパートに押し掛けて以来。
暗闇で驚かせて、そのまま…コトに及んで、多分、怒らせて
結局、ろくな話も出来ず、笑顔の一つも見れずに、別れてしまった。


別に、意地悪しようと思った訳ではない。
けれどまあ、お調子者なのと悪ノリが過ぎたのは否めない。



冷蔵ケースの前で立ち止まり商品を眺めているイツキを、佐野は少し離れた場所から見る。
声を掛けたいけれど、イツキは、自分を許していないかも知れない。
……社長にもバレているかも知れない。その事で怒られたり、何か……
もしかしたらそれが理由で、イツキはこちらに、連れ戻されたのかも知れない。




「…………あっ…」




佐野がウダウダと悩む目の前で、イツキが手に取ったペットボトルを床に落とした。
咄嗟に佐野は傍に寄り、そのボトルを拾い上げる。
イツキは「…すみません…」と言って顔を上げ、ようやくそれが佐野だと気付く。
佐野は「………ああ」と、照れ臭そうに笑う。




「…やだ!佐野っちじゃん!!………久しぶり!…ああ、俺、こっち戻って来たんだよ?
……なんか、生活変わって変な感じ。まだ慣れなくて……ふふふ」




佐野の杞憂を吹き飛ばすように、イツキはそう言って、笑った。





posted by 白黒ぼたん at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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