2020年05月15日
最後の最後で
「……ハイ、金券オッケイ、過不足もゼロ。残りの商品は箱に詰めましたね。ハイ、お疲れ様です!」
「おつかれさまです」
最終日の営業も無事に終わった。
イツキとミカは施設の二階の社員食堂で、最後の細かな事務仕事を片付けていた。
目が回る程忙しい、事もなかったが、慣れない場所での仕事はそれだけでも疲れるだろう。
……ましてやイツキには、……少々心配事もある。今日もあの、嫌な男の姿を見掛けるのでは無いかと……、気を張っていた。
「……ミカちゃん、おつかれー」
フロアで向かいの店にいた女性が、ミカに、親し気に話しかけてきた。
昨日の今日ですでに仲良くなり、連絡先なども交換したのだと言う。
…誰とでも気さくに話が出来き、打ち解けられるミカはすごいな…とイツキは思う。
そんな彼女だから、自分もこれだけ距離を縮める事ができたのだな……と思った。
「……イツキくんこの後どうする?、ユウちゃんが一緒にご飯行こって……」
「……あ、ごめんなさい。……俺、今日は帰ります」
「…そっかぁ…。……また連絡してもいい? ハーバルの社長も直接話したいって言ってたよ。……本当の、東京進出の件だよ」
「………ん。……了解です」
少し顔色の優れないイツキを気遣い、ミカは、それ以上無理に誘う事はしなかった。
イツキとミカ、それと、ユウと呼ばれた黒髪ロングの女性は社員食堂を出て、スタッフ用の通路を進む。
出入口は何か所かあるが、売り場フロアに近い場所まで戻る。そこからミカたちは、地下のレストラン街に行くのだと言う。
じゃあ、ここでバイバイね、とミカがイツキに手を振り、外に出ようとした時
中から、見掛けないスーツ姿の男が、イツキたちの元に駆け寄ってきた。
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