2020年05月21日
土壇場
過去に酷く、心も身体も傷付けられてしまったものは……、例え状況が変わったとしても、それに歯向かう気など起きなくなってしまうらしい。
どうせ駄目だと足が竦む。怯えで身体は硬直する。
他の客をあしらうように、軽口を言って翻弄するような真似が、小野寺相手には出来ない。
車の用意が出来たと、先ほどの柳という男が部屋に戻って来る。
小野寺は静かにイツキを促し、部屋を出る。
「………俺、…いや、……です」
それでもイツキは声を絞り出し、扉から出ようとしなかった。
小野寺は、イツキの二の腕をガシリと掴み、引く。
「……ここは、大人しく言う事、聞いた方がいいと思うよ?」
「……いやです」
「……ふうん?……真面目なお仕事関係の皆さんに、キミの事、話してもいいのかな?」
一番嫌な所を突かれてイツキがどうにも…堪らず、折れそうになったところだった。
「……あー、イツキくん。いたいた!」
視界の先。会議室から社員食堂へ抜けるあたりに、ミカと、一番最初にイツキを案内した男。
それから、黒川の姿が見えた。
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ミカちゃんいい所に…おー救いの神が来た!
黒川さーん!
頑張って欲しいですな。