2020年06月25日
バカンス・1
「…海?……伊豆?……温泉、行く!」
不意に黒川から旅行の提案を受ける。
伊豆下田の老舗旅館。源泉かけ流し。敷地内にはプライベートビーチ。
海の幸も山の幸も食べ放題、地酒も飲み放題。近場にワイナリーまであって
のんびりと一週間。途中、友達を呼んでも構わない。
黒川はビールを飲みながら、旅館のパンフレットをテーブルに広げる。
見るからに立派な施設。日程中には、漁港で花火大会もあるようだ。
「……すごいね、……え、何で…」
「前から…、温泉に連れて行くって話も…、していたからな…」
「………すごいね。………すごいけど…」
イツキはパンフレットを見ながら、半分は素直に喜び、半分は……当然、訝しむ。
こんな至れり尽くせりのプランには、大抵、良からぬイベントがセットになっている。
過去に何度もそんな事があり過ぎて、当然黒川も、隠し通せる訳はないと知っていた。
ふふ、と鼻で笑い、ビールを飲み、卓上の小さなカレンダーを指さす。
「……ココから、ココまで、好きにしていい。なんなら夏の間中、いたっていいぞ。
…俺が行くのはここの週末、三日間。……その時に少し、…用事がある」
「……用事って…、……『仕事』?」
「そんなに酷い相手じゃない。…メシを食って…、……まあ多少は、何か…あるだろうがな……」
黒川のあまりに悪びれない様子に、イツキは口を尖らせ、横目でジロリと睨んで見せる。
それでも、提案を呑んだのは
ここ暫くの生活が少し退屈だったのと、黒川に恩を売るのも悪くはないと思った事。
何か少し、羽目を外しても良いかもと…、イツキの中の悪い部分が疼いていた。
本編には障りのない感じの…番外編的な…笑
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仕事絡みですね
いっちゃん、そこまで嫌だと思ってませんが、普通の生活が物足りなかった…?
熱々の2人もお願いしまーす
いっちゃんには少し何かある方がバランスが取れて良いみたいです。