2020年07月20日
バカンス・18
イツキはどうにか、夕食の時間に間に合った。
別館にあるレストランは好きなものを自由に取れるバイキング方式で
それぞれの料理には担当の調理人が付き、最後の仕上げをして、皿に盛ってくれるのだった。
今日のスペシャルメニューは地元ブランド牛のローストビーフ。
塊肉から好きな量を切り出して貰うそれは期待通りの絶品で、イツキは何度もお替りをしてしまった。
その後は風呂に入る。
酒も、すっかり抜けていた。
……先だってのアレは、一歩間違えれば、ヤバいやつだったな……と、しみじみ、思い返してみる。
どうしてこうも簡単に、男に引っ掛かってしまうのかと……思い当たるフシもなく困惑する。
自分がどれだけ無防備に色香を垂れ流しているのか、当人だけが、気付いていないのだった。
濡れた髪を乾かし、水を一杯飲み、思い出したようにケータイを開くと
いくつか、連絡が入っていた。
明日、梶原がこちらに来られるらしい。
その次の日にはバイトがあるので、一泊して翌早朝には帰ると言うが、それでも嬉しい。
ミカからもメールが入っていた。
ハーバルの件はきちんと時間を作って、対応しなくちゃ駄目だなと思う。
黒川からの着信は
1時間ほど前。イツキが風呂に入っている間にあったらしい。
とりあえず折り返してみるのだが…すぐには繋がらず
一度通話を切って、それから数分後に、黒川から電話が掛かってきた。
『……何だ?』
相変わらず愛想のない、声色。
出先なのか、後ろが少し騒がしい。
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