2020年07月25日
バカンス・21
それはなかなか、ハードな1日だった。
旅館には、宿泊者だけが利用できるビーチがあった。
着替えや休憩にも使える小屋もあり、必要なもの…昼食などは、旅館がその場所に届けてくれるようだ。
そのサービスを前もって聞いていた梶原は、今日一日をここで過ごすと決めていた。
「今日は海。夏だもんな。…何?水着が無い?…フフ、そう言うと思ったぜ。
日に焼けたくない?…それも想定内だ!」
そう言って梶原はするするとカバンから水着やら小物を取り出す。
知り合いから借りて来たというそれは、サーフィンでもするのかというような
長袖、長ズボンのスーツで。日焼け止めなどは2本も3本も用意されていて。
……イツキは、海に入ることを最後まで渋ったのだけど……
あまりの梶原のしつこさと、…今日はもう、どうなってもいいという半ばヤケを起こして
スーツに着替え、海に入る。
「……しょっぱい!!!!」
「そりゃ、海だもん」
「砂が…気持ち悪い…。…なんか…ぬるぬるする……」
「ハハハ」
イツキは海に入るなど、何年ぶりの事だろうか。
久々過ぎる感覚に最初は戸惑っていたが、まあ、天気は良いし風は吹くし
駄目なほど、駄目ではない。
梶原が投げつけてくるビーチビールを適当に投げ返したり、
大きな浮き輪に乗ったり、ひっくり返して溺れてみたりと、一通り、遊ぶ。
「…梶原。言っておくけど俺、泳げるよ? 結構、早いよ?」
「へーー?」
思わず妙な宣言をしてしまう。
梶原はまったく信じていないようでニヤニヤ笑っていたが、イツキが本当に泳げるらしいと判ると
対抗心を燃やし、向こうのブイまでどちらが早いか競争を、何度か繰り返した。
「ねえねえ、キミたち、高校生?…旅館、泊まってるコだよね?」
昼に休憩所で軽食を摘んでいると、少し歳上の女性2人から声を掛けられた。
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体の関係を持たない唯一の友達、梶原くん好きなんですよ!
おっと逆ナンですか?
モテちゃってますね
これはこれで、イツキくんピンチです。笑