2020年08月07日

バカンス・30







実は、夕べ。
部屋にいなかった梶原を探し、イツキが館内をウロウロしていた時。




イツキが売店のあるロビーのソファに座り、少し、ぼんやりしていると…
……向こうから竹本が歩いて来た。

皆が寝静まった真夜中に鉢合わせるなど、普通ならあるハズも無く

お互い、驚く。




『……竹本さん。…どうしたんですか?こんな夜中に…』
『…イツキくんこそ…。……ああ、俺は、今日は大広間の宴会が長引いて、……片づけを手伝ってたら…、……遅くなって…』
『…俺は…寝付けなくて、ちょっと散歩です。……売店に、竹本さんいないかなって…、…丁度、思ってたトコです。
『……はは』



竹本はイツキの隣りに座る。なんだか、落ち着かない様子。

イツキは、浴衣の袷を気にする。灯篭の形をした薄暗いランプが、イツキの白い素肌を照らす。



『……俺も、……またイツキくんに会えないかなって。……仕事の片づけは本当だけど…、なんか…、………会えたらいいな…って……』


照れ臭そうに、しどろもどろに話す竹本。
勿論、まだイツキを好きとか、そんな気は……自覚していないのだけど…、……興味をもち、気に掛かり過ぎていることは確かなようだ。




イツキは

ちらりと、視線を流す。

黒川に、いいように、雑に扱われたココロとカラダに

悪いスイッチが入る。





ソファの上につかれていた竹本の手に、自分の手を重ねた。





posted by 白黒ぼたん at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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