2020年08月11日
土曜日の朝
遅い朝食は部屋に持って来てもらった。
黒川と一緒だと、なにかと融通がきくようだ。
窓側の、板の間の、ラタンの小さなテーブルにトーストと目玉焼き、サラダにフルーツ。
コーヒーを置く場所が無かったので、それはとりあえず床に置いておく。
「…マサヤ、ここって、いつまでいるの?」
「…月曜の朝までだな。…夜には仕事が入ってる…」
「…海とか、行く? 色々、見るトコあるみたいだよ?」
「俺は休みに来たんだ。…ゆっくりさせろよ…」
黒川はそう言って、手を伸ばして、床に置いていたコーヒーを取る。
窓の外は上天気。夏の日差しが眩しすぎる。
イツキは、寝不足の目を細めて…それでもトーストをもぐもぐとやる。
確かに自分も連日遊び通しなのだし、夜は夜で…忙しいのだし。
部屋でゆっくり休むのも良いかも知れない。
………黒川と一緒で、ゆっくり休めるのかは、甚だ疑問だけれども。
それに迂闊に出歩いて、この一週間、自分がどこに行っていたかを詮索されるのも面白くはないだろう。
「……それに…」
コーヒーを飲みながら黒川が続ける。
イツキが顔を上げると、黒川は……何かイツキの悪さに気付いたのか、ニヤリと笑う。
「……外に出て、これ以上、日焼けされても困るからな。
……まったく。……小学生かよ」
「……あっ、……これは…その…」
イツキの足先は甲の部分だけ真っ赤に日焼けしていて
それを見て黒川はくすくすと鼻で笑い
イツキは慌てて、足を、手で隠す素振りなどする。
穏やかな土曜日の朝。
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