2020年08月17日
転寝
黒川が転寝から目覚めると
目の前でイツキが寝ていて、軽く驚いた。
ベッドの縁に腰掛け、上半身だけ倒す格好。
鼻息が聞こえてきそうなほど、呑気な寝顔。
良くも悪くも、こいつは馬鹿だなと、黒川は思う。
自分も含め、悪い男が多過ぎる。決して良い事ばかりの日々ではない。
それでも、呆れるほどの透明度で、こんな穏やかな顔を
簡単に晒す。
何も考えていない馬鹿か、忘れっぽいのか。もしくは全てを許す慈愛に満ちた何かか…
「いや。…ただの馬鹿だな。……俺には丁度いい…」
黒川はイツキに手を伸ばす。
軽く髪の毛を引っ張るとイツキは顔をしかめ、それを見て黒川は、笑った。
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