2020年09月02日
寿司割烹なか井・2
運ばれてくる料理はどれも美味しく、イツキはリラックスした様子で食事を楽しむ。
表で酒が飲める年齢にはあと数か月足りなかったが、こんなお座敷でそれを咎める者はいなかった。
ほろ酔い気分の中、最近の自身の様子を軽く報告する。
先日久しぶりに海で遊んだ話をすると、松田は、イツキの水着姿が見たかったと言って笑った。
「ところでさ、イツキくん…。……林田と、ヤった?」
「………はい?」
イツキが、甲羅付き蟹グラタンの甲羅のヘリをスプーンでかしかしやっていると
突然、松田がそんな事を言う。イツキは、スプーンを宙に浮かせたまま、何の事かと思う。
「……林田さんって、……えっと。………あ、……、まあ……」
「ハハハ。やっぱりね。…俺、この間ヤツと飲む機会があってね、色々、聞いちゃったよ」
「…え、……何ですか……」
林田とはフェスタ以来、会ってはいない。
一人暮らしの頃は大変世話にもなったし、流れで、そんなコトになった事もあったが、当然イツキは何とも思っていなかった。
……そう言えば、付き合っていたらしいミカとは、別れてしまったのだと……ミカが言っていた。
その時は研修中で、後にすぐ別の話になってしまい、詳しく聞くことが無かったのだけど。
松田は、ついこの前、フェスタの関係者を集めた会食の場で林田と一緒になったのだと言う。
別に親しい間柄でもないが、たまたま席が隣になると、声を掛けて来たのは林田の方だった。
『……松田さんはイツキくんと仲…イイんですか? フェスタの後、二人でどこ、行ってたんですか?』
この時点で林田は、結構酒に酔っているらしかった。
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