2020年09月10日
寿司割烹なか井・終
「………松田さん、……変な人だったよ…」
「…メシだけ食って解散か。そうだな、確かに変だな」
その夜の報告会。イツキは出された料理の話と、松田の話を、黒川にさらりと告げる。
イツキと2人で食事がしたいと言われれば、それは、その後の行為も半ばお約束というものだが
それが無いというだけで、かなりの変人扱いになる。
「…まあ、今のところ悪巧みも無いようだしな。…親交を深めたいだけ、とはマユツバだが…
暫くは放って置いても構わんだろう。損にはならん」
「…なにか、一緒に仕事、するの?」
「向こうの親父さんの連絡待ちだが…。もしかしたらな。ホテルの買収に絡むかも…」
「……ふぅん」
イツキは一つ息をついて、体を小さく揺する。
濡らした器具でずっと中を擦られていては、話に集中できるものではない。
「……マサヤ、松田さん、好き?」
「ハァ? 好き嫌いの問題じゃないだろう。役に立つか、立たないかだ」
「……んー、まあ、……そうだね…」
『黒川を気に入っている』という松田の言葉は、まだ、イツキの中で消化不良を起こしていた。
ヤキモチという種類ではないが、少し、似ているのかも知れない。
それを黒川に伝えるのも難しくて、諦めた。
代わりに、腕を伸ばし、黒川に抱き付き
言葉より解りやすい方法で、感情の整理をすることにした。
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