2020年09月15日

おしゃべりミカ







「やだ、イツキくんジャケット似合う。ズルイ!……あたし、なんかオカシクない?…太って見える気がするの。
コレ、うちの社長とダニーが勝手に決めちゃったんだよね。制服なんていらないのにね。
午前中、お客さん、来た?……ああ、結構来た?……そだよね、結構案内のメール出したもんね。オツカレ〜
クリームのサンプル無くなっちゃった? 後に在庫、あったよ、大丈夫。
ところでイツキくん、明日の夜は飲み会だからね! ユウちゃんが歓迎会してくれるって」



お昼過ぎにミカが来て、顔を見るなりマシンガンのように捲し立てる。
午前中の仕事でまあまあ疲れていたイツキは目をぱちくりさせ、ゆっくりと、言葉を理解する。



「………お疲れ様です。………ミカちゃん、………ダニーって誰?」
「ええっ、やだ、イツキくん。ミョウガダニマネージャーよ。長すぎるでしょ?みんな略してるのよ」
「………そうなんだ…。…ユウちゃんって…?」
「それがね、すごいのよ!」



ミカはお喋りを続けながらも、器用に、あれこれ手を動かす。
クリームの在庫を見付けケースに並べ、持ち帰り用の紙袋をチェックし、来店客にはにこやかな応対をし、新しいバームを手の甲にくるくると塗ってみせる。

向こうの、作業所の時もミカは、仕事の間中お喋りをしていて小森などに怒られていたが…
今も変わらず。それも向こうにいる時よりも快活で楽し気だ。
都会の水が合っている、というやつだろうか。





「ユウちゃんって、東京駅の時に仲良くなったコ。
ほら、最終日にイツキくんがお偉いさんに掴まってバタバタした時、一緒にいたコだよ。
ユウちゃんのお店ね、この百貨店にも入ってて、よくヘルプに来るんだって。
他の子とも仲が良くて…、だから明日はみんなで飲みましょうって。…ね!」





ミカのお喋りに、すでにイツキの頭はパンク寸前だった。






posted by 白黒ぼたん at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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