2020年09月23日

歓迎会・3







「イツキくんとはゆっくりお話したいと思ってたの。フフ」
「……はあ、そうですか…」
「ね、ね。……あの時の人って…、誰? どんな人なの?」



ユウも良い感じの酔っ払いらしい。
少し赤くなった顔をイツキに寄せ、上目遣いでそう探る。
イツキは…ここも危険だと、場所を変えようと思ったのだが…丁度良い逃げ場がない。
自分と黒川の間柄を会う人会う人に説明していては、大変な事になってしまう。






「……ほ……保護者……みたいな……」
「…あー、違う違う、おじさまじゃなくて」




ユウはそっちじゃないと、大袈裟に手を振る。



「イツキくんと一緒に戻ってきた人じゃなくて…
あたしとミカと一緒に、外で待ってた人。シュっとした物静かな…インテリっぽい…」

「……一ノ宮さんのことかな…」
「一ノ宮さんって言うの?……すごい素敵な人ね。紳士だったわ!」






どうやらユウは、一ノ宮に興味があったらしい。
通用門で黒川の戻りを待つ様子や、事が片付き、自分たちに面倒を掛けたと礼を言う姿が
今までにユウが出会った男性陣とはまるで別で、
以来、忘れられないのだと言う。



「…お幾つ?…彼女さんとか居るのかしら?…イツキくんのおじさまと一緒にお仕事してるの?
……連絡先とか交換出来ないかしら……」






酔っ払いのユウはそんな事を言い、きゃっきゃと一人で盛り上がる。
イツキは、黒川が「おじさま」と呼ばれたことが自然過ぎて、可笑しくて


ユウの話を聞くどころでは無かった。







posted by 白黒ぼたん at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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