2020年09月25日

歓迎会後







外での用事を終え黒川が事務所に戻る。
一ノ宮はデスクから顔を上げ、「おかえりなさい」と言う。
ソファには、……イツキが横になって眠っていた。


イツキは
今日は歓迎会とやらで食事をしてくると言っていた。
…まあ、飲んで帰るのも良いとして…、……ならば真っ直ぐマンションに帰れば良いだろうに。



「………何だ、こいつは…」
「イツキくん、今日は仕事先の人と飲んで来たらしくて……楽しかったようですよ」
「それは知っている。……何でココで寝ているか、だ」



黒川は呆れたように、ふんと鼻息を付き、着ていたジャケットをイツキの身体の上に放り投げる。
一ノ宮は軽く笑い、部屋の奥の流しに向かい、黒川に何か飲むものを用意する。



「さっきまで私とお喋りしていたんです。…以前、見掛けた女性が、私たちの事を気にかけていたというので、その話を少し………」
「あまり外にやるのも考え物だな。こいつの素性は、そこかしこに言える物でもないだろう。
自分は男相手に身体を売っいて、俺らはその元締めのヤクザです、とでも自己紹介するのか?」
「…いえ、まさか……」


冷たいお茶の入ったグラスを一ノ宮が黒川に手渡すと、黒川は、それをぐっと飲み干す。
そして、カタンと、グラスをテーブルに置き、その手でイツキの頬をぺちぺちと叩く。



「……帰るぞ。……馬鹿が」
「……………ん……」



イツキは身体をもぞもぞと動かし、何度か瞬きをし……
薄く目を開いて黒川の顔を確認すると…、……小さく笑い、………また目を閉じてしまった。




「……馬鹿が…」


黒川はもう一度つぶやくと、諦めたのかソファのイツキの向かいに座り
煙草に火を付け、ふうと息を吐き、イツキの寝顔を眺めていた。









さすが、保護者。おじさまww
posted by 白黒ぼたん at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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