2020年10月09日
想像
さて。
自分に染み付いてたイメージの悪さに少々気落ちしたイツキだったが
それを引き摺る程、ヤワでは無かった。
涙は一粒分。
後は鼻水をすすり、帰りがけに持ち帰りの焼き鳥屋で好きな串を何本か買うと
部屋に戻る頃には悲しみより、怒りの方が勝っていた。
「ハー!、そりゃそうですよ。俺はそういうコですよ。誰とでもヤりますよ。
そうやって生きて来たんで!…マサヤにそう、躾られたんで!!」
キッチンで。
買って来た焼き鳥をグリルで温め、冷蔵庫からビールを出し、グラスにも注がずにラッパ飲み。
流しに置きっぱなしの黒川の灰皿を見て、無性に腹を立てる。
「じゃ。ヤって来ればよかった、佐野っちと。どうせそう、思われてるなら!」
『……ど淫乱だな。すぐに股を開く。さすがだな』
したら、したで、結局はそう言われるのだろう。
イツキはキッチンで朝のグラスを洗いながら、ビールを飲み、焼き鳥を食べ、そう思う。
黒川が言いそうな事を想像しながら、冷蔵庫の残り野菜でスープでも作ろうかと、手を動かす。
『そんなにヤりたいなら、仕事にしろよ。丁度いい。趣味と実益を兼ねるってトコだな』
「……ああ、もう、信じらんない。マサヤの馬鹿!」
想像の黒川にも腹を立て、イツキは鍋を火から下ろす。
ビールを数本空ける頃には、すっかりキッチンは片付き、イツキは最後に水を飲んで寝室に入って行った。
夜中。黒川が部屋に帰ると
キッチンには夜食のスープと、ラップが掛かった焼き鳥。
…ゴミ箱には、山ほどのビールの空き缶。
寝室の隣のイツキの寝床は
内側からつっかいがしてあるのか、扉を開けることが出来なかった。
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ちゃんと料理用意してるの健気ですね…
締め出された黒川さん(^^)
少しは反省してね
しっかりと主婦しているいっちゃん
健気ですね
いっちゃんは本当に健気なコで
黒川は本当に反省して、優しくしてあげないと
いつかバチがあたります。
(…いっちゃんに…笑)
はるりんさま
最近ますます主婦臭が…。もともとマメで器用だったんですね。いい子だ。
でもスープは、残り野菜をコンソメで煮ただけですよ〜ww