2020年10月19日

イツキとダニー・4









その日は仕事が終わってからも暫く、ダメージを引き摺っていた。
間違えようのない帰り道を違う方向に歩いてみたり
キッチンでグラスを割り、火にかけた鍋を焦がしてみたり。




『お客さまに怒られるのなんて、結構あるよ。あたしも。
たぷんたぷんのクリーム、お洋服に零した時は、超大変だったよ。
大丈夫だよ。次から気をつければ良いんだよ。ね!』




ミカの言葉が多少慰めにはなったが…こういった仕事は自分には向かないのではないかと…思ってみたり。








「……マサヤだったら、どうする?……ああ、でも、怒られる事なんて、ないか…」
「……くだらん」


ため息ばかりを繰り返す夕食どき。
同じような状況に黒川が出会うこともまず無いだろうが、イツキはつい、聞いてしまう。


「…確かに、こっちも悪いんだけどさ。すごい剣幕でがなり立てられられちゃうと、もう、どうして良いか分かんなくなっちゃうんだよね…」

「ウルサイ。テメェの言い分なぞ知るか。クソババア。と言えばいい」

「………あ、…そう。………参考になります」





少し焦げついたシチューを食べながらイツキは
この話を黒川にするのは意味がなかったな、と思った。





posted by 白黒ぼたん at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
黒川に愚痴って優しい言葉が貰えるわけないし彼の意見など全く参考にならないのは目に見えていますよね〜
笑いました!!
黒川相手に怒る命知らずなやつがいるわけが無いですよね笑
Posted by はるりん at 2020年10月20日 19:21
黒川に接客業は無理ですね。
おもてなしの心は無いですからね。

一ノ宮さんは上手そう〜♪
Posted by ぼたん at 2020年10月20日 23:10
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