2020年11月10日

ダニー、再び








「…すみません、茗荷谷マネージャー。…ウチの主任、今日は他所に行ってて…」
「構いませんよ。まだ実害はないのでしょう?…どの車ですか?」
「あの、角の、黒い…。…2、3時間前から停まっていて…」


茗荷谷が搬入口で届いた商品のチェックをしていると、以前、同じ部署にいた顔なじみのスタッフが助けを求めて来た。
建物の、駐停車禁止のエリアに、車がずっと停められているのだと言う。
荷物の上げ下ろしにも支障があるため、様子を見に行くと
中には、怖い顔の男が乗っていて、…ギロリと睨まれただけで、もう、何も言えなくなってしまったのだ。


「…多分、反社とか、そっち系みたいなんですよね。…この辺りは、あまり居ないんですけどね。
…どうしましょう。…警察、呼んじゃっていいですかね……」
「いや、私が、…車を移動してもらうように頼んで来るよ」
「ええっ…でも、ヤクザですよ、きっと。何か、裏取引の真っ最中かも知れませんよ?」
「…はは。ドラマじゃあるまいし。それに、もしそうなら尚更、移動して貰わないと…」





そんな話をして、さて、茗荷谷がその車を眺めてみると…



車に、一人の青年が近寄り、助手席に乗ると、車はすんなり発進した。



なんだ、良かったと、搬入口のスタッフは笑い、騒いで申し訳なかったと茗荷谷に謝り



茗荷谷は、何も問題が起きずに良かった、と軽く手を上げて、その場を離れた。




茗荷谷は自分の仕事に戻り、作業を続けながら






車に乗り込んだ、ハーバルの男性従業員の事を考えていた。







posted by 白黒ぼたん at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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