2020年11月16日
幕間
酷く乱暴に扱った、その後は
しばらくは、大人しく、優しい。
その繰り返しに、慣れてしまった。
『暴力男とは距離を取った方がいい』と
ミカに言われたところで
黒川と距離を取ることなど、考えられない。
心も身体もすっかり混ざり、癒着している。
「……もし、俺が、マサヤから離れたい…って言ったら、どうなると思う?」
事務所で。
一ノ宮と二人だけになった折に、そんな事を聞いてみる。
一ノ宮は仕事の手を止め、顔を上げ、静かに笑う。
「案外、簡単に手放すかもしれませんよ?…勝手にしろよ、などと言って……」
「………そうかな…」
「ただ、私が引き止めます。……イツキくんがいなくなると、社長は、仕事になりませんから」
一ノ宮の言葉に、今度はイツキが笑う。
意外と、黒川は自分を必要としているのだと、……少しは、知っていた。
「はは。だったらさ、マサヤも、ちゃんと言えばいいじゃんね。ずっと傍にいてくれって。それで、もっと、優しくすればいいんだよ、俺に」
「………そんな事をされては、………逆にイツキくんは、どこにも行けなくなってしまいますよ?」
そう言われてイツキは
確かにその通りだな、と思った。
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