2020年11月17日
幕間・2
「また、イツキくんと何か、…ありましたか?」
事務所で。
今度は一ノ宮と黒川の二人。
仕事の手が一段落したところで、一ノ宮が、お茶のついでに尋ねる。
黒川は熱い緑茶を啜り、どれの事だろうかと考える。
一ノ宮が「また」と言う程だ。思い当たる節は多い。
「………さあな。……何だ?イツキが泣き言でも吐いたのか?」
「あなたと、お別れしような、と」
一ノ宮の言葉に黒川は思わず、口に含んでいた茶を吹き出しそうになる。
一ノ宮はそれを横目で眺め、「……嘘です」と言う。
「…まあ、そんな様な事です。イツキくんも、……自分自身の事をアレコレ考える様になりましたからね。
今までとは勝手が違うこともあるでしょう。
……新しい仕事もあることですし……、もう少し、気に掛けてあげても宜しいかと思いますが……」
「くだらん。十分過ぎるほど見てやっている。これ以上、イツキごときに割く時間があるかよ。
だいたいアイツは我儘過ぎる。自分を何様だと思っているんだ……まったく」
鼻息も荒くそう言う黒川を、一ノ宮はまた横目で眺めて、
はあそうですかという風に小さく息をつき、お茶を、すすった。
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