2020年12月04日
よくわからない関
もちろん関は同性愛者ではないし、イツキに対して、そう言った感情を抱いている訳ではない。
ただ、目につくだけなのだ。
『……これ、集荷お願いします。伝票、こっちです』
『……………はい』
百貨店の裏側。搬入物の管理をしている窓口に、イツキが荷物を持って現れた。
イツキが急いでいたせいもあるのか。窓口の向こうで椅子に座り、しかも帽子を目深に被っていた男が
先日、倉庫で自分を助けてくれた関なのだとは、気付かなかったようだ。
いや、少し違って。
先にイツキに気付いた関は、何故か咄嗟に下を向き、伝票の処理をするフリをした。
そのせいでイツキは、関の顔を見る事が出来なかったのだ。
『………なんだ、俺。なんで隠れた……?…』
預かった荷物に伝票を貼りながら、関は思う。
やましさや後ろめたさや、なにか…気恥ずかしい気持ちが、心の奥底にあるのかも知れない。
それでも、それでもやはり気になって、イツキが戻って行く後を夢遊病者のように追いかける。
業務エリアと店舗フロアを分ける扉の陰から、伺い見ると
イツキは、何やら若い今時のシュッとした青年と、にこやかに談笑していた。
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