2020年12月15日
特別な日
朝はいつも通り。
巣箱から出たイツキは前の日に買っていたデリのスープを温め、朝食を取り
乾燥まで自動で済ませてくれる洗濯機にタオルなどを放り込み
身支度をして、部屋を出る。
黒川は、まだ寝室で眠っていた。
一応、中を覗いて、「……行ってきます…」と声を掛けたが、
肩のあたりが少し動いたくらいで、黒川が起きる気配はなかった。
イツキが働く百貨店ではこの週末から、歳末セールが始まる。
どこもかしこも赤と緑の華やかな装飾に、金色のリボンが揺れている。
ハーバルでも限定商品を用意しており、本社の社長も応援に来ると、張り切っていた。
セールの準備もあり、午前中からミカも出勤し、パタパタと作業を進める。
その最中、真面目な顔をしたミカが、仕事よりも大切という話をする。
「…そんな訳なので。…週末から超、忙しくなっちゃうので。
その前に、イツキくん。……今日、仕事が終わったら遊びに行かない?」
「……えっ?今日ですか?」
「さっきユウちゃんと話してて……急なんだけど。ご飯とかお酒とかカラオケとか?
あと何人か集まりそうで。……忘年会がてら…、セール前の決起集会…みたいな?……どうかな?」
目をキラキラと輝かせてミカはイツキを誘うのだけど
「………ごめんなさい。………今日は、…駄目です」
イツキはそう言って、申し訳ないと、頭を下げた。
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