2020年12月16日
特別な日・2
「………んー、駄目かぁ。…残念。……カレと、用事?」
「……………まあ、そんな感じです」
「…そっか。解った。また今度だね!」
曖昧に微笑み言葉を濁すイツキに、ミカはそれ以上、深く詮索する事はなかった。
イツキが、ちょっと特殊なお付き合いをしている事は知っている。
話せないことも話したくない事も、……まあ、あるのだろう。
イツキは、もう一度ごめんなさいと頭を下げ、セール準備の細かな仕事に戻る。
小さな袋に小さなリボンを結びながら、……実は、今日の予定などは…無いのだけど……と思う。
特に、予定は無いのだけど。
もしかして、予定が入るかも知れない。
黒川がそろそろ、寿司屋に行くと、言い出すかも知れないし
頂き物の良い大吟醸を、開けるかも知れない。
巣箱に敷いているマットが硬すぎると、黒川が文句を言っていたので、新しいものを見に行くかも知れないし
本当に何も無くて、ただ、部屋で、古い洋画のビデオを見るだけかも知れない。
とにかくまだ何も決まってはいなかったが
ミカたちと遊びに行く日では無かった。
イツキは一度、ポケットの中のケータイに、何の着信も入っていない事を確認して
午前中は黙々と、仕事を片付けていた。
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