2020年12月17日
特別な日・3
昼過ぎ。
あと数時間でイツキの仕事が終わりという頃。
ポケットの中のケータイが震え、メッセージの着信を告げる。
「…こちらのオイルは結構香りが残るタイプです。…夜に、髪の毛に付けるのでしたら、こちらの方が……」
こんな時間にハーバルは謎のピークを迎えていて
イツキはなかなか、ケータイを確認することが出来なかった。
途切れることなく客が訪れ、ミカはミカで、面倒臭い年配の女性に掴まり
店内の端から端まで、商品を説明し、詰め合わせのセットを三度も組み直していた。
ようやく一区切りついた所で、イツキは商品棚の陰で、ケータイを開く。
「あああ、ビックリした。急に混んだねぇ。…もう、おばちゃん、何言ってるのか解んなくて参ったわ……。…………どうしたの、イツキくん?」
「……いえ。何でも無いです…」
ミカに声を掛けられ、イツキはケータイをポケットに仕舞う。
けれど、その顔は怒っている風にも見え、どうにも「何も無い」ようには思えなかった。
それから退社までの時間、イツキは黙々と働いていたが
ディスプレイの商品を倒し、伝票を取り違え、振り返りさま壁に頭をぶつけて
ミカを大いに不安がらせた。
メッセージは、黒川からだった。
時間と場所を指定されるだけの
『仕事』を命じる内容だった。
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いっちゃんに仕事をさせるんですか?
Σ(゚д゚;)
仕事関連という事でしょうが
いっちゃん複雑ですね
酷い事しますね。
まあ本意では無いのでしょうが
頼み方が雑過ぎる……