2020年12月19日
特別な日・5
時間通りに、指定されたホテルに向かう。
ロビーで待っているとボーイが近寄り、直接部屋に来るようにとメモ書きを渡される。
……一緒に食事をして…良い雰囲気になり、流れでセックス……より、話が早くていい、とイツキは思う。
どうせ、する事は同じなのだ。…早く済ませて、早く帰るに越したことは無い。
「…イツキくん?…時間、ぴったりだね。さ、入って入って」
部屋にいたのは丸っこい、普通のおじさんといった感じの男だった。
人懐っこい笑みを浮かべ、イツキをソファに案内する。
テーブルにはルームサービスで頼んだのか、冷えたボトルワインとオードブルが並んでいた。
「急に来て貰って悪かったね。ふふ、あちこち忙しくしていてね。……今しかない!みたいな感じで。
イツキくんとは3年くらい前にも一度会ってるよ?覚えてない?…佐和田って言うんだけど…」
「………あ。…ごめんなさい、覚えてないです…」
「覚えてないかー。残念。イツキくんの記憶に残れなかったかー」
男は冗談めかして笑い、グラスにワインを注ぎ、イツキをもてなす。
軽い口調、和やかな笑顔。黒川と同業とは思えないような、柔らかな態度。
それでも、そんなものが信用できる程、優しい世界ではないと知っている。
「……じゃあ、まあ、飲んで飲んで。……今日のエッチは、忘れられないくらい、スゴいのにしてあげるから。ね」
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