2021年01月15日
男子会・6
先ほどまではイツキが、茗荷谷の追求を受けていたが
今度は茗荷谷が、関の、質問攻めにあっていた。
ひょんな事でイツキを知った関だが、その実、イツキの事情や状況などはほとんど知らないのだ。
この機会にと、茗荷谷に詰め寄る。茗荷谷の御猪口に、酒を注ぎ続ける。
「……えっ、ハタチですか。……俺、もっと若いかと思ってました」
「幼く見えるよね。……ああ、でも、お酒は飲んじゃってたな。いかんいかん!」
「ハーバルって…本社は群馬でしたっけ。……向こう出身で、こっちに手伝いに来てるんですかね」
「いや。家は都内のようだけど。…何でハーバルに勤めているのかは、知らないねぇ…」
関の尋ね方が良いのか、この日の酒が美味いのか、それとも、茗荷谷が喋りたい気分なのか。
いつまで経っても減らない手元の酒を、くっと煽り、ついポロリとイツキの情報を洩らす。
「………家でも、何か、仕事を手伝っていると言っていたが…、どうなんだろうね。怒られて泣いているのを見掛けた事もあるよ。
いやに良い身なりをしている時もあるし。……今日も腕時計が…多分、良いものだったよ。
…ちょっと、不思議な子だよね……」
「採用の時に詳しく聞いたりしないんですか?」
「採用は、ハーバルさんだからね。私はそこまで聞けないよ。…直接は関係がない」
「関係が無い割には、ずい分、気に掛けてるんじゃないですか? 俺だってマネージャーと飲みに行くようになったの、入って2,3年経った頃でしたよ。
いいなあ、大事にされてるなぁ。愛されてんなぁ」
冗談めかして、関がそう言って笑う。
茗荷谷もつられて笑い、「……確かに」と呟いた。
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