2021年01月24日
黒一ノ宮
一ノ宮は事務所の片付け中。
最初は必要な書類を探すためだったが、その用事が済むと
ついでとばかり棚の奥に積み重なった封筒を片付け始めた。
その中に
昔、イツキが撮られた、酷い映像のディスクが入っていて
一ノ宮は手を止める。
この映像自体は、ちょっとした手違いと言うか、まあ、黒川の同意を得ずに撮られたものだった。
すぐに企画した男を処分し、映像自体も概ね回収はしたのだが
この手のものは、完全に消すことは難しい。
複製の複製が出回ったり、断片的な画像だけが、怪しげな場所に貼られていたり
確認は取れていないが、あちこちに、残っているのだろう。
幸い、モデルの少年の身元や、詳しい情報は知られていない。
映る顔も泣き顔ばかり。
しかも、多少は成長し、様子も変わって来ている。
けれど
一部では、やはり
それが、黒川の所有する「イツキ」で
金や、条件次第では、今でも遊ぶ事が出来るのだと
話が、出回っていた。
隠せば隠すほどその価値は増すものだろう。
「……プレミア付き。……商品としては最高なのですけどね。
望んでいない以上どうしようもない。……それとも
値を吊り上げて……ここ一番に使うつもりなのか……」
珍しく一ノ宮は意地の悪い笑みを浮かべて
ディスクを封筒にしまい、また、棚の奥に戻すのだった。
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心の黒い部分!
人間らしい一面を見ました