2021年02月01日
周りの人たち・1
特にこれと言って目立った事柄もなく穏やかな数日が過ぎていたが
イツキの周りの人間たちは、少々、騒がしくなっていた。
ハーバルのはす向かいのショップでは、ユウが、ディスプレイのアクセサリーを直しながら
イツキの様子を伺っていた。
合えば挨拶をする仲だが、休憩時間にべったり一緒にいるほど仲良しではない。
今日、何があったか、何か困っている事はないか、根掘り葉掘り聞き出す訳には行かない。
「………別に、私…、イツキくんを見張っている訳じゃないのよ。でも、ほら、一ノ宮さんが心配なさってたし。
何かあれば、連絡してあげられるじゃない。
……ああ、また、おばさん客に掴まってるわ…。やだ、お釣りのトレーを落としてる。………ガンバレ!」
ユウは心の中でそう呟きながら、展示のネックレスにハタキをかけるのだった。
少し離れた通路では、荷物のカートを押しながら、関が遠巻きにハーバルを眺めていた。
用事も無いのに立ち寄る訳にも行かない。さすがに毎回
荷物が間違っていたと、届けに行くのもオカシイだろう。
ほぼほぼ無関係のイツキと距離を縮めたいと思っても
あまり強引に急いては、ただの、変態になってしまう。
「………クソ。連絡先、交換すれば良かった…、…けど、変か?……女相手でも無いし。
なんか自然にこう…、ぐっと、親密になれる方法が……、……やっぱり飲み会か……」
「…関くん!……関くん!、カート、ぶつかるよ、危ないよ!」
余程ぼんやりと歩いていたのか、押していたカートが通路の観葉植物に当たり
通りすがった茗荷谷が、慌てて、止める。
「気を付けてください。お客様にぶつかったら大変ですよ」
「………茗荷谷マネージャー……、すんません………」
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