2021年02月10日
大衆居酒屋・のん
「イツキ」
朝。神妙な顔を黒川から向けられる。
イツキは目玉焼きとトーストの皿を下げ、コーヒーカップを手に持ち
…今日は帰りが遅くなる、と言った事を責められるのかと…少し、戸惑う。
「…ミカさんと…ご飯に行くつもりなんだけど…」
「ああ。……そんな事、いちいち俺に断らなくてもいい。どうせ夜は、俺も忙しいんだし…」
「あ。……はい」
使った皿を洗い、棚に片付け、手を拭いたタオルを洗濯機に入れ
イツキは、じゃあ行ってきます、と家を出る。
確かに。
主婦でも、子供でもない。行動を制限されている、訳でもない。
もっと自由に、好き勝手にやってよいという事なのだろうけど。
「……イツキくんはさー、束縛系の彼氏さんに、慣れちゃってるんだよねー…」
仕事を終え、約束通りミカと食事に出掛ける。
どこか特別な店を、とも思ったが、結局仕事場の近くの、皆のたまり場になっている居酒屋に入った。
ハタチになり、堂々と酒を飲めるようになったイツキは、ビールを注文する。
「……一緒にはいるんですけど。付き合ってるとか、彼氏とか…じゃ、無いんですよね。
……だから、お互い、自由に過ごして当然なんですけど…、………なんか、良く解らなくて……」
「不安になっちゃう?」
ジョッキに口をつけ、ビールを半分ほど流し込み、……イツキはこくんと、頭を傾げた。
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