2021年02月12日
気紛れ
その日の飲みは、2時間ほどで終わった。
イツキとミカは店の前で別れ、イツキは大通りでタクシーに乗り込む。
ミカと話した事を思い出す。
いや、何を話したのか、自分でもよく解っていないのだけど。
とにかく何か、不満と不安があるらしい事は、はっきりした。
『……イツキくんの彼氏さんは、そんなに怖い人なの?イツキくんが……
とにかくひたすらひれ伏して我慢して文句も言えずに三歩下がって付いて行く、とか
そんな感じなの?………今は違うの?
でもさあ。今は違くても、前にそんなコトがあると
なかなか、新しい関係になるのって、難しいんだろうね。
ココロと身体に染み付いちゃってるってゆーの?
………ん?……イツキくん、まだ二十歳なのに、もう、そんな経験豊富な感じ!?
もうさー、いっそ、全部、新しくしちゃいたいよね。
とりあえず一度離れてみるとか。ああ、それも怖いのかなぁ……』
イツキと黒川のすべての事情を、ミカは知っている訳ではなかったが
アドバイスは非常に的を得ていた。
単純な話、黒川との距離感が、解らないのだ。
そのままマンションに戻るつもりだったが、なんとなく手前の
黒川の事務所の近くで、タクシーを降りる。
立ち寄るつもりはないが、建物の前を通り、窓の明かりを見上げてみる。
ああ、そんな気紛れを起こさなければ
黒川が、見知らぬ少年と一緒にいるところなど、見なくても済んだものを。
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波乱の予感…
波風立てないと…w