2021年02月13日
それも、どうかと
「……お、おおう!……イツキ、久しぶり…」
「佐野っち」
少し、挙動不審の佐野は、まあ久しぶりにイツキに会えたから
という事にしておく。
実際、こんな風に夜に、イツキから連絡を受けて待ち合わせるなど、いつ以来だろう。
「なに? どうした?」
「…んー。…今日は…、飲んで来たんだけど…。飲み足りなくって……」
「あ。お前、ハタチになったんだよな。幾らでも飲めるって事だもんな!」
佐野はぱっと明るい顔になり、向かい合わせの小さなテーブルに、さらに身を乗り出す。
黒川の事務所と、西崎の事務所の、丁度真ん中あたりにある居酒屋。
多国籍料理や地ビールが売りの、少し、若者向きの店。
イツキは、ミカと食事をした後に、……黒川の事務所の階段下で
黒川と、見知らぬ少年を見掛ける。
咄嗟に物陰に身を隠したためあまりきちんとは見れなかったのだけど
……若い、子。中学生か、高校生か…。しかも、泣き顔。
少年は黒川の後に黙って従い、そのまま、滑り込んで来たタクシーに
二人で乗り込み、どこかに行ってしまった。
イツキは、自分が見た光景を、どう処理して良いのか戸惑い……
……いや、答えは、解り切っているのだけど……
このまま、一人、部屋に帰るのがどうにも……嫌で
ケータイの履歴に辛うじて残っていた佐野に、電話を掛けたのだった。
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ついにイツキを引退させてくれるのか…
謎だらけですね
そして佐野っちは期待もあり、ですかね
イツキよりも可愛かったらどうしましょう。
引退→お払い箱も
ちょっと複雑…