2021年02月15日
カタギイツキ
「……お前、まだ仕事してるんだ?…何屋だっけ?…服屋?」
「自然派化粧品…て言うのかなぁ。ハーブとかオイルとか。今は銀座の百貨店に入ってるんだよ」
「へー。お前がねー。まあ似合ってるっちゃー、似合ってるか…ぁ?」
酒を飲みながら和気あいあいと近況報告。
イツキは、明るく、上機嫌に見えた。
カジュアルなニットの上にジャケット、チノパン姿のイツキは
確かに、普通に働く、若者に見える。
時折覗く白い首筋だけが、妙に目につく。
いつでも、佐野はイツキとヤりたいと、機会を狙っていたが
一応今は黒川社長のオンナな訳で、あまり強くは押せないでいた。
それを知ってか知らずかイツキは、色気をだだ洩れさせて佐野に近寄って来る。
あまりに隙だらけで、本当は誘っているんじゃないかと思うのだが…
『……今度な、イツキと飲む時には、…こっちにも声掛けろや。
………ちょっと、盛って、連れ込めばいい。…いいな?佐野』
実は、西崎にそう言われていて…、佐野はポケットの中にちょっとした薬を忍ばせている。
イツキを抱いた事がある男たちにとって、イツキはいつまで経っても
欲まみれの、イヤラシイ対象でしか無い。
「すっかりカタギだな。その内、俺らとは世界が違ってくるか…」
「……中身はあんまり変わらないよ。相変わらずマサヤに振り回されてる。
……佐野っちにも、会いたくなる」
イツキはグラスに口を付けたまま、小さく微笑む。
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