2021年02月16日

イツキと佐野







イツキは事務所で見かけた黒川と少年の事が気になっていたが…
…まだ漠然とし過ぎて、佐野に、どう尋ねて良いのか解らない。
紛らわすように酒を飲み、あえて明るく笑い、オリーブオイルの掛かったチーズを食べる。

佐野は、イツキの様子が少しおかしい事には気付いていたが…
…どうせ、黒川との痴話喧嘩か何かだろうと…、そして、そんな事でもないと自分にお呼びは掛からないと……それくらいに考え、イツキのグラスに酒を注いだ。

実は佐野自身は、少し仕事でポカをやらかし、西崎に叱責されたばかりだった。
ここで良い手土産でもあれば点数を稼げると、心の隅で思わなくも無かった。
実際、イツキに呼ばれてココに来る時には、一緒にいた仲間連中にうそぶき
『…大物を釣り上げて来るぜ!』と見栄を切った来たのだ。






「……でね、ミカさんがすごく頼りになるんだ。もう、百貨店の事で知らない事はないって感じで…」
「ミカって、向こうのアパートん時から一緒だった女だろ? いい姉ちゃんだな」
「うん。今日も一緒にご飯食べてて……」



楽し気に話をしていたイツキが一瞬止まる。

ミカと、食事をしながらした『カレシ』の話や
その後で目撃した光景を、ふっと、思い出してしまった。



「……ん?……どうした、イツキ」
「…………ううん。………少し、飲み過ぎたかも。……おトイレいく…」






そう言ってイツキは席を立つ。




佐野は、ポケットに、手を入れる。







posted by 白黒ぼたん at 21:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
佐野っち!!
いっちゃん危うしです
黒川さーん!!
Posted by はるりん at 2021年02月16日 21:47
いっちゃんて本当にバ…

無防備過ぎて!!

おかーさん、心配です。
Posted by ぼたん at 2021年02月18日 21:25
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