2021年04月07日

リップサービス









「…………いいのかよ、イツキ?」
「…………駄目なら、止める?」
「いや、……止めねぇ………」



イツキは佐野とホテルのベッドの上にいた。

佐野の軽い誘いにイツキは簡単に乗り、自分から潰れる様に強い酒を数杯飲み
言われなくともしな垂れ掛かり、もう歩けないと、その辺りのラブホテルへ入る。
入れば、やる事は一つと、服を脱ぎ下着を脱ぎ、
少し呆気に取られる佐野の前に、肢体を晒す。

イツキがオカシイ事は佐野にも解っていたが、据え膳を逃すような真似はしない。
すぐに抱き寄せ唇を合わせる。部屋の明かりを落とすことを、忘れる。


「…この前は、佐野っち、潰れちゃって………」
「あ、………ああ…」


好きで潰れた訳ではない。イツキに飲ませる薬を、自分で飲んだだけだったが


「………代わりに、西崎さんに……、されちゃったよ……」
「ああ。……悪ぃ……」


結果は同じ事だった。けれど、それすらどうでも良いと言う感じ。



佐野がイツキの腰に手をやると、イツキは綺麗に反応して、小さく声を洩らし
腕を佐野の首の後ろに回し、ぎゅっと抱き付く。


「……佐野っち、……すき……」


そう呟くのは


リップサービス、だけでは無いようだ。






posted by 白黒ぼたん at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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