2021年04月12日
馬鹿が二人
昼過ぎ。外出していた黒川がマンションの部屋に戻ると
イツキはリビングでカップラーメンを食べながら、テレビを見ていた。
「………おかえりなさい」
「ああ。…石鹸屋じゃなかったのか」
「……なんか、疲れちゃって。今日はお休みしちゃった……」
そう言うイツキに黒川は意外そうな顔を見せる。
ジャケットを脱ぎ、キッチンで水を飲み
缶ビールを手に持って、リビングのイツキの隣りに座る。
「マサヤは? もう仕事、終わりなの?」
「ああ。ここ暫く忙しかったからな。……少し、寝る」
「……ふぅん」
イツキはラーメンのスープを啜りながら、ちらりと横目で黒川を見る。
黒川は缶ビールに口を付け、本当に疲れたというようにふうと大きく溜息を付く。
お互い、言いたい事や、言っておいた方が良い事があるような気がするが
そこまで切羽詰まっていないと、判断を見誤る。
間違えた判断で肝心な事を何も話さないとしても
することは、する。
イツキは黒川に手を引かれ、寝室に向かいながら
ラーメンを食べた後なのに、歯を磨いていないのに……と
変なトコロで、躊躇していた。
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