2021年04月26日

コイバナ








「…契約のオマケでイツキちゃんに会ったのは…一か月くらい前だったかな。
ほら、第一ホテル東京の…、山梨の赤ワインが美味いとこの……」

「ああ。それは知っている。…その後でも、誘ったのか…」

「誘うのはいつもなんだけどさ。いつもは乗ってこないんだよ。……でもココ2,3回はいやに簡単に……、あー、その、……会ってくれるからさ…」



松田は酒を飲みながら、話を続ける。
黒川はふんと鼻で息をついて、まあ、そんな日もあるかと怪訝な顔を浮かべる。
いつも『遊びならいい』と馬鹿にして言っているが、いざ遊ばれると、あまり楽しい気はしない。

一ノ宮も仕事の手を止め、松田の話に耳を傾ける。
イツキの行動で、心配なことが、無い訳ではない。



「………あいつが男とヤルのは、今に始まった事じゃない。…たまたま、そんな気分だったんだろうよ」

「……あー。でもさー、ちょっと……感じが違うんだよなぁ…。寂し気っつーか、儚げっつーか。…エロさ三割増し……みたいな……」



軽い口調に、軽い話なのかと、一瞬、思う。
それでも最近のイツキの雰囲気が少し違うことには、黒川にも心当たりがある。



「…イツキちゃん、少し、お疲れなのかな?……仕事、辞めたい…みたいな事も言ってて……
辞めてどうするよ、俺と逃げるか?なんて言ったら、それもイイね、なんて言ってさ……」

「…………くだらん、それでがどうした。今更ピロートークに惑わされるなよ…」



「黒川さん、イツキちゃんと、上手く行ってないんじゃないの?」







posted by 白黒ぼたん at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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