2021年04月27日
一ノ宮の期待
『イツキちゃんと上手く行ってるのか?』
との中年男性二人の恋愛トークを
一ノ宮は割と冷静に、聞き耳を立てていた。
イツキに関しては最近は、少し、遊びが過ぎているのではないかと
ユウから、聞き及んでいた。ああ、勿論ユウは「遊び」の内容は知らないが。
仕事が終わると綺麗なスーツに着替えて、外に出て行く、と。
翌日は酷く眠そうな顔をして、休む事もあり、ミカを困らせていると。
黒川とイツキの関係が、どんな塩梅なのか
一ノ宮も気にはしているトコロ。
黒川自身は無自覚のようだが、関係が冷え込むと、仕事にも影響がある。
微妙なバランスで縺れる二人の関係を、もう少しどうにか出来ないかと
一ノ宮も黒川に詰め寄ることはあったが、ここもまた微妙な力加減で
そう深く、内側にも切り込めない。
良くも悪くも松田が掻き回してくれるのは、まあ、良いきっかけになるのではないだろうか。
「くだらん。イツキごときに。上手く行くも糞も無いだろう」
一ノ宮の期待を他所に、黒川はいつもの口調。
松田は多少むっとした顔を見せたが、それでも食い下がる。
「ちゃんと大事にしてやってるかって事だよ。好きなんだろ?イツキちゃんのこと」
「…しているだろう。不自由なく暮らさせて、適当に遊ばせて。なんの不満があるんだよ」
「解んない人だな。そういう問題じゃなくてだな……」
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