2021年05月05日
立ち話
「すみません、松田さん。わざわざご足労頂いたのに……」
「…まあ、素直に話しを聞く人じゃないとは思ったけどさ。…あんたも大変だな、一ノ宮さん」
松田と一ノ宮は事務所の階段の下で立ち話。
松田は呆れたように笑い、一ノ宮は困った風に笑う。
「なんか、イツキちゃんの事になると、ちょっとタガが外れるよな、あの人。
……そんだけ、ホレてるって事なんだろう?」
「……まあ、……そういう事なのでしょうねぇ…。あれでも多少は、気に掛けてはいると思うのですけど……」
「………ふぅん?」
松田はふと顔を上げ、二階の事務所の辺りを見る。
本当に、黒川がイツキの事をきちんと考え対応してくれれば良いなと思う。
そしてその気遣いが、一ノ宮には少し不思議だった。
「松田さん」
「ん?」
「松田さんこそ、イツキくんを気に入っていらっしゃるのでしょう? ならばいっそ、この機会に…、仰るように、イツキくんを連れて地元に帰るとか……、されないのですか?」
「ハハハ。そんな事したら、黒川さんがブチ切れて追っかけて来るんだろう?」
そう言って松田は笑う。
確かにそうだ。それは、火を見るより明らかなことだ。
「俺はさ、イツキちゃんが好きだけど、黒川さんも好きなんだよね。
…あー。変なアレじゃなくてだぜ?
あの二人が好きってゆーか、オモシロイってゆーか、気になるってゆーか……」
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