2021年05月12日
深淵・1
「………飲み過ぎだ」
深夜1時。リビングに二人。
黒川はイツキが注いだグラス半分ほどのワインを一気に飲み干し
当然、それでは足りずに、ボードから日本酒のボトルを取って来る。
そして、イツキまで、空のグラスを持って、ご相伴に預かろうとしている。
「…ちょっとだけ。ちょっとだけだよ。……あのワイン、軽かったでしょ?
10度ぐらいだと思うんだよね…」
それでもほぼ一本飲めば十分だろうと黒川は呆れながらも
イツキのグラスにも日本酒を注いでやる。
改めて、何の始まりかは知らないが、二人グラスをカチンと合わせる。
常温で美味しい深めの酒。香りが鼻に抜ける。
へべれけになってしまっては
したい、話しも、出来なくなるが
少しくらいは回っていないと
出来ない話も、ある。
「……あ。この曲…、……なんかの映画の……、曲……」
イツキはソファに膝を抱えて座り、テレビから流れる音楽に耳を傾ける。
一見、静かで穏やかな時間。
このまま後はセックスをして、今日は終わってしまおうかとも、思う。
「……さっき、事務所に、松田が来たぞ」
とりあえず黒川は、小石を一つ投げ入れてみる。
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