2021年05月30日
最後の一言
黒川にしては、精一杯の優しい言葉を掛けてやっているつもりなのだろうが
ひねくれ過ぎていて、あまり、通じる物でもない。
黒川は同じ失敗を繰り返す。
「……嫌だと言うなら、止めてやってもいいぜ?」
『……あー、別に大丈夫。……。場所、どこ?…築地の吉むら?』
「…いや。…花岡だ…」
『ああ、離れの座敷があるトコね。…りょーかーい』
必要な情報だけ得ると、イツキは「じゃ、オヤスミ」と言い、
電話はぷつりと切れる。
黒川は手に持ったケータイを眺めながら、しばらく、動かなくなってしまう。
「………あの言い方では無いでしょう?」
横から静かに一ノ宮が口を出す。
黒川の、いつもの意地悪なのだろうが、今はもうそんな事をしている状況で無いのは一ノ宮にも判る。
「……じゃあ、なんだよ?」
黒川はケータイをテーブルに放り、ふんと鼻息を鳴らす。
一ノ宮はチラリと黒川を眺め、ふうとため息をつく。
「つい仕事を振ってしまったが、間違いだった。もうお前を仕事にやる気はない。
イロイロとすまなかった。
もう、他の男に抱かせる気はない。遊びでも駄目だ。愛してる。
それぐらい、言ってみてはいかがですか?」
最後の一言に、思わず、黒川は口に含んだ酒を吹きそうになっていた。
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そうだそうだ!
一字一句間違えないで言ってみろ!!
口が裂けても言わないでしょうけど笑
黒川、言えばいいのに!
言わせたいなー……あ、あ、あ……
言わないだろうなー。笑