2021年07月18日

今日一番の盛り上がり








「イツキくんとカレシさんって、ラブラブなのかと思ってたよ。
ほら、東京駅のショップの時に、迎えに来てくれてたじゃない。
あの時の感じとか…なんか、…「俺のものだぞ感」が凄くて…」

「あはは。確かに。その感じは凄いですよね」

「まあ悪く言っちゃうと束縛ッキーなんだけどね。それで嫌になちゃった、とかじゃなくて?」



何杯目かのビールと、追加の唐揚げがテーブルに置かれ、イツキとミカのお喋りは止まらない。
…少し、口が軽すぎるかも…と自分でもイツキは思っていたが

聞き上手のミカに乗せられ、つい、話してしまう。

けれどそうやって思いを言葉にしていくことで、気持ちの整理が付いていく。
自分の言葉で初めて、自分の気持ちに気が付く、そんな感じがしていた。



「束縛……は…されてるのかな…、ああ、でも、その割には放ったらかしで…
好きにしろとか勝手にしろとか言うくせに…、そうすると、怒る…みたいな…」
「ああ、いるいる、そういう男…」
「でも、それで今回、好き勝手にしてたら……ちょっと、変わったんですよ」
「えー、なになになに、ちょっとって何よー?」



勿論、詳しい所までは話すことは出来ないので、イツキは一旦、言葉を止める。
そしてその間に、色々思い出した事があるのか、つい、ふふふと笑ってしまう。
その笑みにミカはますます興味を惹かれ、話の続きをと求めるのだった。



さすがに、これ以上は話せない。





ちょっと態度が変わった黒川
自分に愛情を持っていると、初めて言葉にし、多少…優しくなった。
今更なのに、夜の最中に、ふいに手を握り顔を見つめてくる。
長過ぎるキスだけで満足しそうになる。抱き寄せられるだけでイきそうになる。




「やだっ…イツキくん、何か思い出してるわね。
いやーん、そこんとこ、お姉さんに話してみなさいよー」



イツキもミカも恥ずかしそうに笑い合い
それは今日一番の盛り上がりを見せたのだった。





posted by 白黒ぼたん at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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