2021年08月09日
コロッケの夜
その日、黒川は早めに仕事を切り上げ、帰宅するつもりだったのだが
事務所を出る直前でトラブルが起き、そうも出来なくなった。
結局、部屋に戻ったのは日付が変わる頃。
イツキは、リビングのソファで、横になって眠っていた。
『今日はコロッケとメンチカツを買ってくるね』
そんな言葉に、何か応えようと思った訳でもないのだか
テーブルに並んだままの惣菜やサラダを見ると、少し気持ちが揺れた。
気配に、イツキが目を覚ます。
「………おかえりなさい」
「……ああ」
「…遅いよ。…せっかく…揚げたて、買って来たのに…」
「……ああ」
半分寝ぼけた様子で、そんな恨み事を言うイツキ。
黒川はイツキの頭をぽんぽんと叩き、ソファの足元に座ると
すっかり冷めたコロッケを手でつまみ、口に入れた。
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