2021年10月04日
宵闇
「……ったく。…何で俺がこんな事…」
とあるホテルの駐車場。
車の中で佐野は文句を垂れる。
今日は黒川に、「仕事」をしているレノンの迎えを頼まれたのだ。
イツキの頃とは違い、組でもそこそこの立場になった佐野だったが
黒川から見れば、雑用係。使いっ走りの一人。
そして、未成年であるレノンを扱う以上、信用のおける男でないと駄目なのだ等々
言われてしまえば、断ることなど出来ない。
やがて宵闇に紛れ、裏口からレノンが現れた。
「……迎えなんて、いらねぇ」
「まあ、そう言うなよ。せっかく来てやってんだからよ」
「…あんたもクソ変態の仲間なんだろ?…気色ワリィ…」
助手席に乗ったレノンは一頻り文句を言う。
佐野が迎えに来たのはこれが初めてでは無いのだが、一向に慣れる様子はない。
こんな可愛げの無い子供の相手など、黒川の命令でなければ願い下げだ。
いくら、…頬に傷を作り、濡れた髪に不自然な匂いをさせていようと、…何ら感じる所もない。
「……クソ。ふざけやがって…あのジジイ…」
窓の外を眺めながら、レノンは
低く押し潰されそうな声で、そう呟いた。
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佐野っちとレノンなんて組み合わせ…?
イッちゃんに心の平穏を
佐野っち、どう出ますかねー?
あんまり甘い感じはしなさそうですねー
のんちゃんさま
レノンに対して以前のような不安な感じは無いんでしょうが…やっぱり、気になりますよね。
いっちゃん、苦労が絶えないです。