2021年10月07日
四方山話
「……あんたさ」
「あんた、じゃねぇだろ。佐野さん、だろ」
「あんたも、あの、イツキって奴とヤッたの?」
レノンは都心から少し離れた場所に住んでいた。
車で送るにしても小一時間は掛かる。
お互い、話しも無いだろうが、無言というのも息が詰まり
なんとなく、口を開く。
「…お前、イツキの事、知ってるのか?」
「この前、会った。…オカマなんだろ?」
「オカマ…とは違うと思うけどな。まあ、可愛い奴だぜ」
佐野の答えは面白く無かったようで、レノンはふんと鼻息を鳴らす。
佐野はハンドルを握りながら、レノンの横顔をチラリと伺う。
本当に。
顔だけ見れば、綺麗な顔をしている。
まだ幼いこともあり、肌も滑らか。体つきも華奢だ。
けれど態度と口が悪すぎる。
さすがの佐野も、手を出してみようとは思わない。
今、客を取らせているのは
ただ若い、というだけの売りだ。
行為に慣れていない身体を開発する楽しみもあるが
レノンの場合、一向にそれが開花する気配が無い。
「……あんなの。…するのも、されるのもどうかしてる」
「ん?…ボクはまだチェリーだったかな? はは、イったこともねぇとか言う?」
「ケツにチンコ突っ込んで、イクも何もねぇだろう!だから変態だって言ってるんだよ!」
そう、レノンは声を荒げる。
経験のない未熟な身体では、行為はただの暴力に過ぎなかった。
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