2021年10月25日
ホテル紫苑
『…悪ぃ、イツキ。頼む。助けてくれ。俺じゃどうにもなんねぇ』
佐野からの誘いにはもう何があっても乗らないと…軽く誓っていたイツキだったが
ちょうど仕事上がりの時間。たまたま出てしまった電話で
切羽詰まった声でそう懇願されては…つい、話を聞いてしまう。
「……なに?」
『頼む。今から「紫苑」に来てくれねぇ?』
「…ホテルじゃん。…行かないよ」
『いやいやいや、違うんだわ。……レノンが、ヤバいんだわ』
どうやら、このホテルで仕事を終えたレノンが、酷い状態なのだと言う。
佐野はレノンを迎えに来たのだが、レノンは泣き喚き、挙句バスルームに立て篭もり、手に負えないのだと。
嘘か本当か疑わしい所だけど…もし本当に何か、身体にダメージを負っているのだとしたら
その痛みを嫌というほど味わったイツキには、放って置くことが出来なかった。
ホテルに向かう前に、一応、黒川に連絡を入れて置く。
黒川からは短く、「面倒を見てやってくれ」とメールが入っていた。
佐野の話は珍しく、本当だった。
言われたホテルの部屋に入ると…そこはまだ、どこか湿った、独特の臭いがしていた。
ベッドのシーツは乱れ、酒のグラスが倒れ、床はあちこちが濡れていた。
自分がここで、どんな目に遭わされたか、イツキは思い出し…少し吐き気を覚える。
それを、佐野も、感じているのか。イツキに申し訳ないと詫び、
それでも頼むと、レノンが籠ったバスルームに視線をやった。
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レノンを何とかしてあげたいですね
佐野っちたまには本当の事言うって
評価低すぎです(*≧▽≦)
今までしてきた事を考えると当然ですね
レノンと共謀してイツキを呼び出して
何か、悪さを……。
とか、十分考えられるじゃないですか。
今までの行いがねー。笑